絶対値のことを考えている。
正負の符号を取り去ってしまえば、希望にしろ絶望にしろ、原点からの距離を表す数値でしかないということ。
むしろ問題なのは、原点が何処かなのだ。人間のそれは自ら移動さえしている。生き物独特の浮遊する性質を持った座標である。

概に言って原点は二つある。
わたしが誕生したとき(誕生すると運命づけられた時)
わたしの現時点。
この二つの原点は、遠ざかることを宿命づけられている。
そこにあなたの原点が加わり、さらに誰かの原点がくわわる。
あまねく隔てられたわたしたちの原点を結んで現れる図形…。

絶対値において問題なのは、正の符号でなければ、負の符号でもはない。
どこを原点とし、また、原点からどのくらいの距離があるのかということなのだ。

誰の希望にしろ、絶望にしろ。